子供の時間
岡本太郎
制作年 | 1975 |
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材質、技法 | 油彩、繊維強化プラスチック、パネルに貼付した綿布 |
寸法 | 108.0 × 88.0 × 10.0 cm |
1911年神奈川県生まれ。東京美術学校退学後、両親とともに渡仏。1931年パリ大学に進学し、哲学や心理学、民俗学などを学びながら、力強い輪郭線と原色を多用した作品を発表し、画集『OKAMOTO』の出版ほか、パリの芸術運動に参加するなど活発に活動する。しかし第二次世界大戦の影響を受けて1940年に帰国。1947年に二科会の会員となり画家としての活動を本格的に再開、主題から技法に至るあらゆるものを対極的にとらえる「対極主義」を提唱する。著作『今日の芸術』を出版するなど文筆家としても活動した。
国内外で活動するなか、70年に大阪で開催された万博のテーマ・プロデューサーとなり《太陽の塔》を発表。作家人生を通じて、絵画、彫刻、写真、文章など様々な領域を横断しながら多くの作品を発表し続けた。
《子供の時間》は1975年に制作されたレリーフ作品である。絵画に加え、岡本太郎は1950年頃からレリーフ壁画を制作し始めた。それは平面に収まった色や形を現実の空間に突き出すことを目指した表現手段であった。本作品は、石膏で形成された後、型を取りFRPを流し込む手法で制作されている。一つの型から同じ作品を複数制作することが可能なこれらの技法や素材は、作品の一点主義を否定した太郎の理念にかなったものである。また、作家自身が「顔は宇宙であり、他であり、全体なのだ」と言うように、本作品に現れる顔は、喜怒哀楽を表現しているだけでなく、過去、現在、未来や時間という抽象的なテーマを象徴するモチーフとして用いられている。