日本現代美術

水平経路に沿って

福島秀子

制作年 1986
材質、技法 アクリル、カンヴァス
寸法 97.0 × 194.0 cm

1927年東京生まれ。戦後日本のアンフォルメル、抽象絵画を代表する女性作家である。1948年に「モダンアート夏季講習会」に参加し、同会で知り合った北代省三、山口勝弘らとトリダン(七耀会)を結成。1951年には彼らと共に詩人の瀧口修造を慕い集まった様々な分野の若手作家と実験工房を結成し、同グループの中心メンバーとして主に美術・衣装を担当。総合的芸術を目指した実験工房の活動と並行して、福島は1950年代半ばには型押しの円と線による独自の画風を生み出していく。1957年には来日中のミシェル・タピエの目に留まり、福島は海外でも注目される作家となっていった。1960年代には福島の代表作とも言える黒褐色のモノクロームによる「弧」シリーズを発表し、1970年には「青」シリーズへと移行していった。

《水平経路に沿って》はその「青」シリーズの一つである。福島は神話や詩、音楽、自然科学の中で常に人間の真相意識の根源にある水という存在を青の色彩と結び付け、紙の上に精神世界の描写を行った。一見シンプルながら、線や不定形な滲み込みにより重層的な画面の構成が画面全体に静寂と叙情を漂わせている。