北海道
森山大道
制作年 | 1978 |
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材質、技法 | ゼラチンシルバープリント |
寸法 | 100.0 × 150.0 cm |
著作権 | © 2024 Daido Moriyama Photo Foundation |
1938年大阪生まれ。写真家・岩宮武二、細江英公のアシスタントを経て64年に独立。写真雑誌などで作品を発表し続け、1967年「にっぽん劇場」で日本写真批評家協会新人賞受賞。1968-70年には写真同人誌『プロヴォーク』に参加、ハイコントラストや粗粒子画面の作風は“アレ・ブレ・ボケ”と形容され、描写の精緻さ、フレーミングの巧さなどそれまでの常識にとらわれない作品で写真界に衝撃を与えた。ニューヨーク・メトロポリタン美術館やパリ・カルティエ現代美術財団で個展を開催するなど世界的評価も高く、各国で個展を開催するなど現在も精力的に活動を行っている。
本作品は1978年に撮影された作品である。この時期の森山は体調も芳しくなく、撮影を行うことも少なくなり写真を撮る行為すら無意味に感じられるほどであったという。そうした閉塞した状況からの打開を求めて、少年時代からの憧れの地であった北海道行きを決める。森山は札幌にアパートを借りて約3ヶ月間滞在し、友人、知人とも会うことを避け一人でただ撮影することのみを日課とする毎日を過ごした。しかし、この滞在は、期待通りの結果を得られず挫折感と共に東京に戻ることになったという。写真の中に佇む馬からは、そのモチーフの特性ゆえにどこか叙情や情緒を感じる、と同時に不安や陰鬱さも感じることもでき、私たちの情感を強く刺激してくる。このように、本作品は当時の森山の心の揺れ動きが閉じ込められた作品と言うことができるだろう。