日本現代美術

模型千円札 III

赤瀬川原平

制作年 1963
材質、技法 印刷、クラフト紙
寸法 29.3 × 19.3 cm
著作権 © 2024 Genpei Akasegawa

1937年神奈川県生まれ。前衛芸術のみならず、マンガ、文筆、写真など様々な分野で活動した。1955年に武蔵野美術大学入学後、1958年に読売アンデパンダン展に初出品し、1960年に吉村益信らと「ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ」を結成。1963年には高松次郎、中西夏之と共に、「ハイレッド・センター」を結成し、「ミキサー計画」として《模型千円札》や梱包作品を発表したほか、「首都圏清掃整理促進運動」などのパフォーマンスを行う。1964年、《模型千円札》が違法であると起訴され「千円札裁判」が開始、最終的に有罪となる。赤瀬川は、1963年頃から千円札を印刷発注し始め、印刷千円札を用いたオブジェ作品や梱包作品を制作して読売アンデパンダン展で発表した。赤瀬川が最初に制作した《模型千円札》は1963年2月に新宿第一画廊で開かれた個展「あいまいな海について」の案内状としてであった。

本作品《模型千円札Ⅲ》は1963年の5月に制作された物であり、クラフト紙に黒で印刷するように依頼したものの、誤って緑で印刷されたという物である。一枚の紙に3枚分の千円札が印刷されたものが300枚程あり、断裁はされていない。これらはオブジェを梱包する際にそのまま使用された。赤瀬川はこの作品を通じて、お金の価値は信用に基づく曖昧なもので紙幣は印刷された紙に過ぎないという本質をあぶり出した。