日本現代美術

おんくろだなぅうんじゃく

白髪一雄

制作年 1994
材質、技法 油彩、カンヴァス
寸法 194.0 × 130.3 cm

1924年兵庫県生まれ。京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)で日本画を学ぶ。1952年、村上三郎、田中敦子などと「O会」を結成。1955年には吉原治良を中心とする「具体美術協会」に村上らとともに参加する。天井から吊るしたロープを両手でつかみ、床に広げたキャンバスの上で、体をダイナミックに動かしながら足を使って絵具を広げて作品を制作するという「フット・ペインティング」を確立した。2000年代に入ると、海外の美術館やアートマーケットでの具体の評価が高まり、その中でももっとも作品が高く落札される画家のひとりとなった。

白髪は1970年頃に、密教で達成される境地と、制作中に彼が達成した超越的な精神状態との間に関連性を見出し、比叡山延暦寺で修行を行い得度を受けた。その影響もあり、1980年以降の白髪の作品では黒、青、白といった寒色が多く使われるようになった。

《おんくろだなぅうんじゃく》(1994年)では、赤や黄といった色が使われているものの、それらを覆うように黒が使われており、従来の白髪のスタイルの踏襲と密教からの影響の両方が画面上に現れている。