日本現代美術

Tryptique

菅井汲

制作年 1962
材質、技法 彩色した木、蝶番
寸法 112.5 × 100.0 × 95.0 cm
著作権 © K.SUGAI & JASPAR, Tokyo, 2024 E5738

1919年兵庫県生まれ。1933年に大阪美術学校に入学したが、幼少時に患った心臓弁膜症の回復も充分ではなかったことから退学し、阪急電鉄の宣伝課に勤務し、商業デザインの仕事に従事した。独学で絵を学びながら吉原治良の勧めで二科展に応募し続けたが、落選を重ね1952年に渡仏する。渡仏間もないクラヴェン画廊での個展が大きな反響を呼び、国際展に出品を重ね、フランス国内だけでなく国際的にも高い評価を受けるようになった。

菅井は1950年代後半から60年代前半には、重厚なマチエールと単純化された土族的なフォルムによる抽象絵画を制作し、その後は「オート・ルート」シリーズなど有機的なフォルムと明るい色彩による抽象表現から、1970年代以降は、「フェスティヴァル」シリーズなど道路標識をおもわせる無機的で、規格化されたフォルムと明快な色彩によって構成された平面作品を制作するようになった。

《Tryptique》において3面それぞれに描かれているイメージはそれまでの作品中に描かれていた形象に似通っている。一方で、全体が立体になっていることで、静的だったものが動的に変化しており、動的な緊張を有する「オート・ルート」シリーズ絵画の萌芽を見ることができる。