日本現代美術

28の死 Ⅱ

戸谷成雄

制作年 1991
材質、技法 木、灰、アクリル、鉄
寸法 248.0 × 434.0 × 62.0 cm
著作権 copyright the artist

1947年長野県生まれ。ポスト・ミニマリズムやもの派といった潮流の中で解体された彫刻の再構築を試みて、1970年代より一貫して人間の存在認識に通じる彫刻の原理とその構造を追求し、作品制作による実践によってその本質と可能性を提示し続けてきた。彫刻概念の再定義を試みたコンセプチャルな作品シリーズを発表した後、チェーンソーを使った木彫作品を中心に1984年から「森」シリーズ、1994年から「《境界》から」シリーズ、2000年頃から「ミニマルバロック」シリーズなどへとその試みを展開させていった。1988年にヴェネチア・ビエンナーレに参加して以降、国際展へと発表の場を広げ、日本の現代彫刻を牽引する存在として高く評価されている。

《28の死 II》では、チェーンソーによって彫り込まれた無数の襞が織りなす重層的な造形に木材の削りくずを燃やした灰を混ぜたアクリル塗料が塗られることで、緊張感のある表情が生み出されている。その表情からは、生まれることもまた何か別の状態からの「死」であると語っている戸谷が作り出す、生と死が隣り合いながら、ときに反転していく一つの世界の構造を見てとることができる。戸谷は素材を彫り、刻むことでそこに内在する何かをえぐり出し、人間や自然の原初的、根源的な性質ともいうべきものを現出させている。