日本現代美術

無題

原口典之

制作年 2017
材質、技法 鉄、アルミニウム、廃油
寸法 65.0 × 186.0 × 94.0 cm
著作権 Copyright : Noriyuki Haraguchi 2024

1946年神奈川県生まれ。1960年代後半から美術家としての活動を始め、もの派を代表する作家として知られる。およそ50年に渡る作家活動を通じて、ゴム、ハニカム、ポリウレタン、車の部品や木材などの様々な工業素材を用いたインスタレーション、立体作品や平面作品を発表した。原口の代表作としては、軍用機の一部を原寸大で再現した初期の作品「A-4E Skyhawk」(1968-1969)や、77年にドイツのカッセルで行われたドクメンタ6に日本人作家で初めて選出された際に発表した、「オイルプール」シリーズなどがある。これらは、物質の造形を主題としながら、人間と社会との関係を見つめ、繊細でありつつも力強さが備わっている作品となっている。

《無題》は原口の代表作「オイルプール」シリーズの一つである。廃油が作り出す漆黒の鏡面に反転した像が映し出され、鑑賞者は床下にもうひとつの世界が広がるような錯覚に陥る。このように感覚的な理解を超えて私たちの中に侵入してくる、ある種の暴力性も原口の作品の特徴の一つと言えるだろう。