日本現代美術

無題(TK1196-ʼ62 ⻩、赤)

桑山忠明

制作年 1962
材質、技法 アクリル、顔料、カンヴァス
寸法 243.5 × 173.5 cm
著作権 © 2024 Tadaaki Kuwayama

1932年名古屋生まれ。東京芸術大学日本画科を卒業後1958年に渡米し、その後もニューヨークで制作活動を継続。1960年代、70年代のアメリカにおけるミニマリズムを牽引した作家と評される。初期は日本画の顔料や和紙を用いた作品を制作していたが、1961年のニューヨークでの初個展以後はアクリル絵具による単色の幾何学的形体を組み合わせた平面作品に移行し、表現者としての主観を排除し、純粋な芸術および芸術体験を志向した作品は現在でも国際的に高い評価を得ている。

桑山の作家活動の変遷は、初期の日本画の顔料を用いていた顔料の時代、1969年頃までのアクリルペイントの時代、80年代の油彩の時代、そして空間そのものを作品として提示する時代、というように辿ることができる。その中でも、《無題(TK1196-ʼ62 ⻩、赤)》はアクリルペイントの時代に位置し、表面のマットな質感や構図には桑山作品全体に通底する、禁欲的な制作態度が顕著に表れている。本作品には赤や黄が用いられているが、感情を超えたニュートラルな領域の存在を作品に求めていた桑山が人々の何らかの感情と結びついてしまうこれらの色を使用することは段々と少なくなっていき、アルミを入れたメタリックな色を頻繁に用いるようになっていく。