林
瑛九
制作年 | 1959 |
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材質、技法 | 油彩、カンヴァス |
寸法 | 130.4 × 97.3 cm |
1911年宮崎県生まれ。1936年に印画紙上に自身のイメージを定着させる独自のフォトグラムを独創して「フォト・デッサン」と名付け、作品集『眠りの理由』を出版して美術界にデビューした。1951年には画壇の権威主義を否定したデモクラート美術家協会を結成し、靉嘔など彼を慕う若い芸術家たちが多く集った。瑛九は油彩画やフォト・デッサンの制作を行う一方で、独学で版画制作も精力的に行い、300点以上の銅版画、150点以上のリトグラフを残している。
瑛九は様々な技法や材料を用いて、写実からキュビズム、シュルレアリスムそして抽象表現へと作品を展開させたが、1957年以降はデモクラート美術協会の解散によって、団体活動、日常生活の煩雑さから解放され、油彩による抽象画の制作が中心になっていった。その抽象画の画面上には当初、円形や方形が現れていたが、それらは次第にオハジキ状の丸となり、丸は砕けて弾け、最終的にはうごめく点となった。そして、点はさらに小さな点となり画面全体を覆い尽くすまでに至った。この変遷を踏まえると、《林》は瑛九の油彩画の局地とも言える作品であり、瑛九独自の宇宙のような広がりを持つ精神世界が広がっている。