日本現代美術

WORK 65-1&2 象-1

磯辺行久

制作年 1965
材質、技法 ミクストメディア、板
寸法 183.7 × 360.0 × 9.5 cm
著作権 © 2024 Yukihisa Isobe

1935年、東京都生まれ。上野高校在学中に瑛九に出会い、デモクラート美術協会の最年少のメンバーとなる。東京藝術大学に入学後、1950年代から版画を制作し、1960年代初頭にワッペン型のモチーフを反復させた作品を発表し注目を集めた。1965年に渡米し、グリーン・カードを取得、10年にわたるアメリカ滞在の中で、磯辺の関心は環境計画やエコロジーの問題に向けられ、その研究や活動に専念することとなった。1974年に帰国後、作品制作を再開した1990年代から今日に至るまで、地域コミュニティや自然環境を主題としたランド・アートを展開する環境芸術家としての活動を行っている。

《WORK 65-1&2 象-1》は61年から65年にかけて集中的に制作された、ワッペンを用いた作品の一つである。箱の中のワッペン等の配置の交換、組み替えが可能な作品になっている。オランダの雑誌で見つけたという象の模写のイメージが、蓋を開けていくにつれて消え、変わって単位としての箱のユニットからワッペン、切り抜き、展覧会の案内状などの事物が次々と現れる。全体の部分への、部分の全体への組み替え、イメージの記号的な事物への、記号的な事物のイメージへの組み替えが意図されている。同時代を象徴するポップアートの機械的な反復と増殖とは一線を画したものであり、磯辺独自の抽象的反復構造を見て取ることができる。