日本現代美術

作品

斎藤義重

制作年 1962
材質、技法 油彩、合板
寸法 182.0 × 121.0 cm

1904年青森県生まれ。1920年に開催されたロシア未来派の亡命画家らの来日展を契機として、1930年代から本格的に創作を開始。第二次大戦と健康上の理由により活動の中断を余儀なくされるが、1950年代半ばには再開し、絵画と立体の領域を横断する先鋭な作品を精力的に制作した。草創期の日本の前衛美術運動に重要な役割を果たした美術作家である。戦前から戦後、2001年に亡くなるまで日本の美術を牽引した斎藤は、多摩美術大学で教鞭をとり「もの派」を中心とした多くの学生を育てるなど、優れた教育者でもあった。

1960年代前半に、パリの街中で見た石壁に彫りつけてある落書きに影響を受け、斎藤はキャンバスではなく合板を、絵筆ではなく電動ドリルを用いて画面作りを行い、「ドリル絵画」というシリーズを生み出した。《作品》もそのドリル絵画のうちの一つである。回転する電動ドリルの刃先の気ままな動きと、それを緩やかに制御しようとする作家の意志との微妙な兼ね合いが、リズミカルで実に味わい深い点や線を画面にもたらしている。その凹凸ができた表面にローラーやナイフで壁塗りをするように絵の具を摺り込んでいくことで、画面に色彩の陰影やぼかしなど独特の奥行きや広がりを生じさせている。