出品作品

  • 「包まれた缶と瓶」1958-59
  • 「包まれた電話機」1962
  • 「ヴァレー・カーテン、コロラド州、ライフルのプロジェクト」コラージュ、1971
  • 「包まれたポン・ヌフ、パリのプロジェクト」2枚組のコラージュ、1985
  • 「ゲート、ニューヨーク市、セントラルパークのプロジェクト」ドローイング、2005
  • 「アンブレラ、日本―アメリカ合衆国、1984-91」写真
  • 「包まれたビル、タイムズスクエア#1のプロジェクト」コラージュ付版画、2003

など、包まれたオブジェ、ドローイング、コラージュ、マルチプル等計50点以上。

札幌宮の森美術館 新コレクションを含む主要作品を一挙公開

札幌宮の森美術館では、クリスト・アンド・ジャンヌ=クロードの展覧会を開催いたします。

1935年6月13日ブルガリアに生まれ、共産党政権下、ソフィアの芸術アカデミーで学んだクリスト。留学先のプラハで、秘密裏に目にすることのできたピカソやミロなどの革新性に大きな衝撃を受けた彼は、表現の自由を求めてたどり着いたパリで、同年同月同日生まれのジャンヌ=クロード(フランス人の両親のもとモロッコに生まれる。2009年没)と出会い、共同制作を開始します。

ケルンの港に置かれたドラム缶や積み荷を利用した《積まれたドラム缶と埠頭のパッケージ》(’61)や、ドラム缶の壁でパリ市街の道路を封鎖する《ドラム缶の壁=鉄のカーテン》(’62)は、彼ら独自のアイデアが現実となった最初期の作品として、その後に続く公共のモニュメントや建物の梱包、また千数百個から数十万個ものドラム缶を積み上げる《マスタバ》といった大規模なプロジェクトの原点となりました。

70年代以降、布を使うアイデアは新たな展開を見せます。谷間に張られたオレンジ色の《ヴァレーカーテン》(’72)、全長約40kmにもおよぶ《ランニングフェンス》(’76)、11の小島が点在する湾を舞台にした《囲まれた島々》(’83)、日米双方で同時に開花した直径8m、計3,100本の《アンブレラ》(’91)、N.Y.セントラルパークに立ち並ぶ7,503基の《ゲート》(’05)など、いずれも構想から実現までに、許可獲得や技術面、物資面での準備など、何年もの歳月と莫大な資金を費やして生み出された独創的なアート作品は、世界中の人々に驚きと賞賛をもって迎えられました。瞬時にして景観を一変させ、短期間で消滅してしまうこれらの作品群は、アーティスト自らが繰り返し語り、追求して来たJOY(喜び)とBEAUTY(美)そのものの姿と言えるでしょう。

2007年、2010年と二度にわたる来札を実現した札幌宮の森美術館、NPO法人CAPSSでは、かねてより作品の収集と恒常的な展示、道外の展覧会や出版物への協力などをとおしてアーティストの国内での紹介に努めてまいりました。

本展では、プロジェクトの構想、準備段階でクリストの手によって制作されたドローイングや、実現したプロジェクトの記録写真等を中心に、昨年ドイツで公開された屋内での大規模なインスタレーション《ビッグ・エアパッケージ》、さらには現在進行中の2つのプロジェクトまで、クリスト・アンド・ジャンヌ=クロード名義による主要作のほぼすべてを紹介するとともに、《包まれた缶と瓶》、《パッケージ》などクリスト最初期の貴重な作品も展示。アーティストのユニークな創造の全貌とその魅力に迫ります。