
森山大道写真展
《記録/記憶》最新作から北海道記へ、そして写真家の内なる旅
1938年に大阪に生まれた森山は63年よりフリーの写真家として始動、やがて、それまでの写真概念を根底から覆すラディカルな表現で、日本の写真界にかつてない衝撃を与えます。72年に発表された写真集「写真よさようなら」は、「アレ、ボケ、ブレ」と形容される、独自のスタイルを徹底的に追求することによって、写真の解体を目指した森山大道氏の代表作のひとつであるとともに、日本写真史上比類の無い一冊となりました。
「生活そのものが写真」「カメラは世界を写し取るコピー機」と語り、今なお膨大な数の写真を撮り続ける森山氏、幅広い年代層に支持されながら、最近では、ファッション・ブランドとのコラボレーションやワークショップなど、その意欲的な活動によって20代の若者を中心とした新たなファンを獲得、99年のニューヨーク、メトロポリタン美術館、2003年のパリ、カルティエ財団現代美術館など、各地で大規模な個展が開催され、世界的にも高い評価を得ています。
70年代後半に北海道で撮影した貴重な写真も
「写真よさよなら」を発表した同じ年、森山大道は既存のメディアにとらわれない、自由な表現の場を目指して、個人誌「記録」の自費出版を開始します。
本展では73年の創刊第5号以来、永らく休刊となっていた幻の写真誌「記録」の復刊最新号から、同誌に収録された多数のカットを、ノートリミングのオリジナルプリントによって再構成、あわせて70年代後半に北海道で撮影した多数の未公開作品、作家自身のこだわりでもあるシルクスクリーン作品など、新旧を交えながら、写真家自らが現在の気分を自己編集して展示構成します。
時代を駆け抜け、常にカリスマ的な存在として、写真関係者だけでなく、デザインやアートの世界からも注目を集め続ける写真家・森山大道の魅力をご体感ください。