
伊藤隆介ワンマンショー
RYUSUKE ITO SHOW ; ALL THINGS CONSIDERED
主催 | 札幌宮の森美術館(NPO法人CAPSS) |
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協力 | 生西康典 大島慶太郎 大友良英 マイク・クベック 吉雄孝紀 CAI現代芸術研究所 SuperDeluxe PHOTON + NMA |
後援 | 札幌市 札幌市教育委員会 |
札幌宮の森美術館では、1980年代より実験的な短編映画、ビデオ・インスタレーション(映像と造形を用いた美術表現)を制作、発表する映像作家・美術家、伊藤隆介の初の本格的個展となる「伊藤隆介―All Things Considered」を開催します。
「ファウンド・フッテージ」と呼ばれる、既存の映画を自由にコラージュする映像詩の分野で、日本の代表的な映画作家として知られる伊藤は、精巧に作られた模型やジオラマなどをビデオカメラでリアルに撮影、そのライブ映像を拡大投影し、目の前の実物との関係を考える「Realistic Virtuality(現実的な仮想性)」シリーズなどで、現代美術家としても国際的な活躍を続けています。
どちらの表現でも、映像を支配する物語性を突き放す視点は共通しており、フィルムやビデオといった視覚メディアを通し私たちが「何を見ているのか」という問題を、けっして難解にではなく独特のユーモア感覚をもって提起しているのが特徴です。本展では、ビデオ・インスタレーションの近作を中心に、伊藤の今日までの仕事を展望します。海外のラジオニュース番組に由来するという展覧会タイトル「All Things Considered」(「全体として見れば」「いろいろ考慮してみると」の意)の意味どおり、会場ではアパートやオフィスの些細なディティールから、アクション映画のワンシーン、ドローン(無人爆撃機)が飛来する戦場、宇宙の果てのブラックホールといった観念上の存在まで、私たちの世界を形作る様々な事象が脈絡無く展開。
とりわけ福島第一原発の事故を描いて話題となった連作を一度に展示する大作「Mark.I×2」は新たな試みとしても注目されます。また、2007年に札幌宮の森美術館からスタートした、フィルム映写機を自作し、映画史を四苦八苦しながら追体験する「映写機シリーズ」の最新作も登場。電力を使わない人力の装置で、人類滅亡を描いた映画「猿の惑星」の予告編を鑑賞します。そこで私たちは、世界を覆う深刻な現実、情報社会の有り様を相手に、想像力、ユーモア、ポップ精神を駆使した、いつ終わるとも知れない問答に巻き込まれることになるでしょう。
映画作品では、ノイズやパンク的とも称される映像詩の代表作「版(Plate)」シリーズ(ビデオ版)を常時上映。会期中には音楽家・大友良英氏とともに、フィルム映像とギター、ターンテーブルのサウンドが融合する、ライブのコラボレーション上映も行う予定です。
「伊藤隆介―All Things Considered」。アレコレと考える前に、ぜひ札幌宮の森美術館でご体験ください。