Slide Lecture-A Work in Progress, Over the River,Project for Arkansas River,State of Colorado.

2006年10月29日(日)
会場:ポルトホール / 札幌宮の森美術館

谷間に張られたカーテン、全長40kmの仮設フェンス、海に浮かぶ島々を囲むピンクの布、直径8mの傘の大群、梱包された歴史的建造物・・・

布を使った壮大な野外プロジェクトで知られる、クリストとジャンヌ=クロードの最初期の作品から現在進行中のプロジェクトまでを俯瞰する本展では、関連イベントとして、7年振りの来日となったアーティスト自らによるスライド上映とレクチャーが開催された。

コラボレーティブ・アーティストとして知られる二人は、私生活においても長年の重要なパートナー。来日中は終始互いを気遣い合う仲睦まじさを見せ、レクチャーでも自らの壮大なプロジェクトを「Baby(=子供)のようなもの」と紹介するなど、プロジェクト完成までの長期間にわたる困難な道のりも、完全に二人の世界であることを印象付けられた。

講演会前半のスライド上映では、過去の主要なプロジェクトと現在進行中のプロジェクト「オーバー・ザ・リバー」について、主にクリストが解説。後半の質疑応答では、比較的寡黙なクリストに対し、時に聴衆を煽るようにパワフルに語るジャンヌ=クロードの姿が印象的であった。

朝、京都を経ち午後には札幌市内の講演会場へ、そんなハードなスケジュールにもかかわらず、聴衆からの質疑にはおよそ一時間半にわたり立ったまま応答、どの質問にも真摯に応えるクリストとジャンヌ=クロードの二人。「作品に理屈は無い、ただ二人が美しいと思うものを自分たちの自由につくる」と言い切るジャンヌ=クロードに、満場の拍手がおくられた。