束の間の幻影
駒井哲郎
制作年 | 1951 |
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材質、技法 | サンドペーパーによるエッチング |
寸法 | 18.0 × 28.9 cm |
著作権 | © Ari Komai 2024 /JAA2400145 |
1920年東京生まれ。日本における現代銅版画の先駆者として大きな足跡を残す。慶応義塾普通部在学中にエッチング研究所にて銅版画の技法を学び、36年東京美術学校油画科に入学、油彩画の制作に励みながら、臨時版画教室において銅版画を試みた。恩地孝四郎が主催する「一木会」に参加して技術を成熟させていきながら、ボードレールなどといったヨーロッパの文学に親しむことで作品主題の心的側面を発展させていった。また、駒井は生涯を通じて銅版画を追求した一方、詩人や音楽家と交流し、総合芸術グループ「実験工房」での活動や詩画集の出版などで、文学や音楽との領域横断的な表現を試みた。
《束の間の幻影》では、洋画家岡鹿之助の点描法から影響を受け、サンドペーパーを用いて、さらに版に点を打ち、アクアチントのように淡い階調の面を獲得する技法が用いられている。この作品で第一回サンパウロ・ビエンナーレ、第二回ルガノ白と黒国際版画ビエンナーレで日本人として初めて受賞し、駒井が国内外で一躍脚光を浴びるきっかけとなった作品である。